バイオレメディエーション
VOCs汚染の土壌・地下水に対し生物の分解能力を利用して、VOCsの浄化を行う工法です。
微生物の活動とVOCsの分解
VOCs汚染の対策には、微生物の働きを利用して地層中の汚染を分解・浄化します。
地下には無数の微生物が生存しており、この微生物の活動により地下水や地層中のVOCs汚染が分解・浄化されます。
例えばテトラクロロエチレンやトリクロロエチレンは下図のように分解され、最終的にはエチレンを経て二酸化炭素・水・塩素に分解されます。
VOCs汚染の浄化作用は、自然状態でも進行しますが、特にVOCs分解作用に優れているデハロコッコイデス(Dehalococcoides)等を増殖させ活性化させる事により、分解・浄化時間を短縮する事が可能です。
バイオレメディエーションには、地中に栄養塩を注入する方法(バイオスティミュレーション)と微生物そのものを注入する方法(バイオオーグメンテーション)がありますが、弊社ではバイオスティミュレーションを主に行っております。
従来の汚染源の掘削除去工法に比べて効果が得られるまで長時間(2年間程度)を要しますが、大規模な工事を必要とせず低コスト化が可能ですので、稼働中の工場や遊休地での施工に適しています。
バイオレメディエーションの特徴
■生物の浄化機能を利用したVOCs等有害物質の原位置浄化工法
■長時間を要するが、大規模な工事が不要であり、低コスト・低負荷型工法
■浄化後も無害で安全な工法
■操業中の工場や遊休地に適している
適用可能物質
■土壌汚染対策法に定める第一種特定有害物質11項目
・四塩化炭素
・1,2-ジクロロエタン
・1,1-ジクロロエチレン
・シス-1,2-ジクロロエチレン
・1,3-ジクロロプロペン
・ジクロロメタン
・テトラクロロエチレン
・1,1,1-トリクロロエタン
・1,1,2-トリクロロエタン
・トリクロロエチレン
・ベンゼン
施工方法
①設計
現地の汚染土及び地下水試料を採取し、汚染物質の存在形態や微生物量の確認等により設計します。
②施工
注入井戸と観測井戸を設置します。地上に設置した水槽の中でバイオ浄化剤と水を混合し、設置した注入井戸から自然注入やポンプ圧入によりバイオ浄化剤を注入します。
③モニタリング
定期的に地下水モニタリングを行い、地下水中のVOCs濃度変化を確認します。
使用するバイオ浄化剤は、無害で安全な物質であり、浄化後も二次汚染等の心配はありません。
なお、補間工として、VOCsの拡散防止と物質収支を確認するために対策範囲周辺を鋼矢板等で締め切ることを提案しております。